研究概要 |
口腔癌に関連のある新たな癌抑制遺伝子の同定を3p末端領域で行い、クローニングすることを目的とした。口腔扁平上皮癌(SCC)36例を対象としてホルマリン固定、パラフィン包埋標本から抽出したのtumor/normal DNA pairを用いた。3p領域のLOHを検出し、欠失地図を作成した結果、3p25-p26にあるD3S2450からD3S3591の0.8cMが口腔扁平上皮癌において共通欠失領域であることを同定した。この領域にLOHをもつ症例は有意差をもって高浸潤性癌(浸潤様式3,4C,4Dtype)が多いことが判明した。口腔癌に特異的な欠失領域は、その原因遺伝子が存在する可能性がある領域であり、3p25-p26の0.8cM内に口腔癌に関与する癌抑制遺伝子の存在する可能性があることをJournal of Human Genetics 46:335-341(2001)に報告した。さらに、上記で示した共通欠失領域(3p25-p26)のBAC contigを作成し、ゲノムDNAの全長が1381kbであることを確認し、BACシーケンスを用いてGENSCANにて遺伝子領域の予測を行った。次に遺伝子予測プログラムのデータとESTのホモロジー検索を行い、欠失領域に存在するESTと既知の遺伝子を検索した。これらの遺伝子が口腔粘膜あるいは口腔癌培養細胞で発現がみられるかRT-PCRにて検討した。発現がみられたESTにおいては、5' RACEおよび3' RACEにて増幅を確認しており、PCRで増幅されたcDNAはTAクローニングを行なった。これらの研究成果からさらに飛躍して、全ゲノム上での口腔癌関連遺伝子を同定することを試みた。口腔癌のSCC cell lineから抽出したDNAを用いて、第1染色体からX染色体まで平均5cM間隔に位置する811ヶのマイクロサテライトマーカーにてホモザイガスな欠失領域を解析した。
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