研究概要 |
1.頭部X線規格写真分析:顎変形症患者11名のセファロ分析にて骨格形態を分類した結果,骨格性下顎前突症7例,顔面非対称2例,開咬が1例,上下顎前突1例であった.これを患者群として健常者群との比較検討を行った. 2.CT写真分析:上顎咬合平面を基準としてCT撮影を行い,この断面での咬筋の幅径を測定したところ,骨格形態による明らかな相違は認められなかった. 3.筋電図解析:最大咬合時の咬筋放電量および咀噛運動後の周波数分析を行い,咬筋の疲労度の測定を行った.下顎前突と開咬にて最大咬合時の咬筋放電量は比較的低値を示し,顔面非対称においては放電量の左右差を認めた.上下顎前突においては正常者との比較において相違を認めなかった.周波数分析においてはいずれの群でも有意な差を認めなかった. 4.咬筋の病理組織学的研究:いずれの群の咬筋のHE染色においても筋繊維の強い群生萎縮を呈する神経原性筋萎縮の所見を認め,中心核などの明らかな筋原性変化を示唆する所見は認めなかった.ATPase染色において下顎前突ではtypeII繊維優位を認め,通常成人ではほとんどみられないtypeIIC繊維が高い割合での存在が確認された.電子顕微鏡所見においては,Z帯,筋繊維の配列に異常が確認された.
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