研究概要 |
ザラゴジン酸類の第二世代合成法として1,3-双極付加環化反応を機軸とするルートの開発を行なっている。昨年度において、3-ブチン-2-オン共存下、ザラゴジン酸の側鎖部を完全な形で導入したα-ジアゾエステルと酢酸(II)ロジウムを反応させても目的の付加環化生成物は低収率でしか得られないことが分かった。このことは、1,3-双極付加環化反応の成否が側鎖部に依存していることを意味している。そこで、基質の調製および1,3-双極付加環化反応を効率的に行なうために適した側鎖の探索を行なった。種々検討を行なった結果、ジアゾ酢酸-tert-ブチル導入時の立体選択性を改善することはできなかったが、MOMオキシエチル基を側鎖として持つ場合にのみ、付加環化生成物への変換を高収率で行なえることが分かった。得られた付加環化生成物に対して立体選択的なジヒドロキシル化により6,7位へ水酸基を導入した後、6位水酸基の位置選択的なベンジル化、7位アセチル基の除去、Zn(BH_4)_2によるC7位カルボニル基の還元を経てコア部分の官能基化を達成した。生じた水酸基をBoc基で保護したのち、MOMエーテルの脱保護条件を検討したところ、塩化メチレン中TMSBrを用いると、C4位第三級水酸基のTMS基が一部除去されるものの、収率良くアルコールを得ることができた。現在はハロゲン化物への変換まで完了しており、今後は側鎖部伸長のためのカップリング法の探索等を行なって全合成を達成する予定である。
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