研究概要 |
これまでの本研究において、合併症の有無と直接医療費との間に有意な関連性のあること(糖尿病42:743,1999)、さらに『治療中断』が糖尿病性合併症の発症さらに重症化と関連していることを明らかにした(糖尿病43:131,2000)。その一方で『検診による糖尿病発見』がかならずしも治療効果と関連していなかったこともあきらかにした(糖尿病43:S-238,2000)。本年度はこの検診システムを有効な糖尿病の「継続治療」にむすびつけるための患者マネージメントのあり方をさらに研究した。近隣の半官半民健診センターにて施行された会社検診ならびに人間ドックで、ブドウ糖負荷試験にてDMパターンを示した要所見者220名を対象にした。介入は全対象者に対しての東京女子医科大学糖尿病センター受診である。介入群(26名)と非介入群(194名)の1年後の通院状況を調査したところ、介入群は93%受診継続していた。合併症なく、食事療法のみでHbA1c6%以下であった。非介入群のうち健診センターの糖尿病教室参加群は41名いて、1年後は12%のみが継続していた(HbA1c6%以下で、合併症もなかった)。のこりの非介入群はアンケートに答えたのは30%、そのうちどこかの医療機関に受診しているとの回答は53%であった。 このことをふまえ、当センターの近隣でありまた毎年5万人もの検診をおこなう半官半民の健診センターに、要所見者の当センターへの依頼をお願いしている。2001年には45名の受診があった。現在合併症はみられていない。今後この群の経過観察をおこなう。
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