昨年度の予備調査に基づき、北海道・東北地区を除いた地域の病床数300床以上の総合病院1083施設を対象に本調査を実施した。 有効回答は327件(30.2%)であった。病院全体としての医療事故対策委員会は、99.1%の病院で設置された。委員会設置の時期は、1999〜2000年で66.1%と最も多く、予備調査の結果と一致し、文部科学省・厚生労働省などからの通達時期と一致していた。看護部門独自の医療事故対策委員会の設置率は83.2%でインシデント報告書の収集率は78.6%であった。病院の各部門において医療事故対策委員会の下部組織が構築されていることが伺えた。また、委員会が設立されたことにより、病院全体のシステム改善や事故防止対策が積極的に展開されたこと(78.6%)が報告されていた。 看護管理者が他病院の医療事故対策を知る機会があると回答したのは80.6%であり、一方、他病院のインシデント情報を見る機会があると回答したのは26.6%であった。他病院のインシデント情報を事故対策として活用したいとしたのは89.4%で、その情報は利益になるとしたのは91.8%であった。この結果も昨年の予備調査と同様の傾向を示した。医療事故に対する対策に関する情報収集は、現在の情報化社会を反映しているためかインターネット等からの情報収集が多く、さらに、全国各地での医療事故に関する研修会・研究会が盛んに行われたことも影響していると推測された。 他病院とのインシデント情報の共有化に関しては、実際に参加したいと回答したのは78.8%で昨年と同様あるが、やはり、実際のインシデント報告書を外部に提出することに関して抵抗があることが垣間見られた。
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