研究概要 |
1.筆者は透析患者の自己管理行動を向上させるためプログラムを開発中であり、これは、自己効力を高めることによる自己管理行動の向上を期待するものである。その根拠を得るために、自己効力が自己管理行動に影響するかを明らかにした。調査研究による重回帰分析の結果、食事管理の自己効力と家族からの支援が24%の寄与率で食事管理行動に影響していた。(Oka M,Chaboyer Wが、International Journal of Nursing Practice,2001に報告) 2.セルフ・モニタリング法とセルフコントラクト法を応用した、体重管理プログラムを48歳女性、血液透析歴13年に適応した。その結果、体重管理が良好になると同時に結果は、ベースライン期に比べ介入期は一日体重増加率で減少した。またコミュニケーションがとりやすくなり、自らの思いを話してくれるようになった。(中沢恵美、山田幸子、岡美智代が米沢市立病院医学雑誌,2001に報告) 3.血液透析患者に対する介入プログラムによる一日体重増加率の減少に対する効果の検証と,ピア・ラーニング法による自己管理における認識の変化の有無,及びその適性を明らかにする研究を行った。対象者は、血液透析患者5名であり、ピア・ラーニング法、ステップ・バイ・ステップ法、セルフ・モニタリング法を用いたプログラムを立案・実施した。その結果、5名中3名の一日体重増加率の減少がみられた。ピア・ラーニング法では特にモデリングが有効であった。(第46回日本透析医学会学術集会,2001で口頭発表) 認知行動療法による透析患者における自己管理行動への、一定の介入効果はほぼ検証された。今後は多くの医療者が本法を活用できるよう、認知行動療法の意義や手順に関するマニュアルの作成が必要である。また、他対象者に対する効果検証も行っていきたい。
|