平成11年度から引き続き、12年度に障害者のきょうだいで、成人に達している者を対象(対象総数20名)に、過去の経験、現在の思いについてインタビュー調査を実施した。平成13年度は、そのデーターを質的分析方法にて分析を行った。その結果、きょうだいの障害受容過程としては3パターンがあり、一番多いパターンとしては、(1)自然なかかわり(5歳〜小学2年生)、(2)同胞の障害に気づき、社会の偏見を自覚する時期(小学2年〜小学4年頃)、(3)同胞の障害を友人にかくす時期(小学5年〜高校生頃)、(4)同胞の障害を言えるようになる時期(高校進学〜25歳頃)(5)同胞の障害を自分にとってプラスにする時期(それ以降)に分類できた。(3)の時期というのは、周囲の冷たい目からの遮断と同時に、きょうだいにとっては、いじめの体験、母親と2人きりになる経験の少なさ、自分ばかりが我慢しなければならない状況、親の愛情の薄さ、さらに反抗期という時期におされ、同胞がいなければ良かったと、同胞の存在を否定するようになる。しかし、きょうだいであるという思いとの葛藤のために、だまるという行動をとり、安全な環境をとりながら、同胞の存在と自分との関係について確認していた。そしてその状況から、答えを見つけることができたきょうだいは、同胞を肯定的に捉えるようになる。そして安全な環境を拡大していく。周囲の人に言えるようになったきょうだいは、周囲の環境が変化すれば、一瞬また構えるが、安全な環境の拡大の仕方を習得しているので、時期を待ち拡大していくようになっていた。 分析からはこの過程以外に、(3)の過程が成人に達しても続いているという者もいた。この過程をとる者に共通していることは、家族の特定の者とのけんかや関係がうまくいっていないということであった。うまくいかなくなった原因は同胞に障害があることで、幼い頃に寂しい思いをした、親自身が障害に対して否定的であるなどの理由が考えられる。
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