本研究は、脳波(SPN)で「やる気」を測るシステムを構築することが、研究の目的である。昨年度は、SPNが「やる気」の指標として用いるかできるか、基礎的な実験を行った。本年度の目的は、「やる気」の程度と脳波(SPN)の振幅がどのような関係にあるかを調べるために、質問紙で得られた「やる気得点」とSPNの振幅に関係があるかどうかを調べた。 被験者は、14名の運動部経験者とした。実験条件は、報酬のもらえる条件ともらえない条件を設けた。「やる気得点」は各実験条件終了後、Visual Analogue Scale(VAS)を用いて被験者の「やる気」の程度を評価した。課題は、delayed-feedback paradigmを用いて自分が行ったパフォーマンスに関するフィードバック(パフォーマンスが正しかったか否かという結果情報)を受けるという課題を用いた。脳波は、国際式10-20法に従って、頭皮上20箇所から記録した。SPNはフィードバック刺激前200ms間の平均脳波電位とした。また、やる気を高める条件では、課題を正確に遂行した場合、1試行につき50円の報酬を与えるようにした。さらに、VASをもとに「やる気」得点をもとに被験者をやる気の高い群と低い群に分け、SPNを比較した。その結果、やる気の高い群の方がやる気の低い群よりも有意にSPNが低くなることが示された。 このことは、SPNが情動的な予期を反映する脳波であることが指摘された。この結果については、Bockerら(2001)の電気ショックを用いて被験者を情動的な状態においてSPNを測定した結果と同様の結果となっており、SPNが情動予期を反映するという解釈を指示する結果となった。このことより、SPNを用いた「やる気」の評価が可能となったと考えられる。
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