研究概要 |
まず,自尊感情の下位概念として改正版身体的自己概念尺度を作成した。この尺度は21項目で,身体全般尺度とその下の6つの下位尺度(運動,筋力,健康,活力,倦怠感,体型)から構成されていた。 次に,運動/スポーツに対する自己効力感の尺度を作成した。この尺度は11項目,4つの下位尺度(試合志向,練習志向,継続・遂行,期待)から構成されていた。 運動/スポーツに対する自己効力感,身体的自己概念,自尊感情の関係を調べるために,運動系サークルに所属する大学生を対象としてこれら3種類の質問紙を実施した。相関による分析から,3者間(自己効力感,身体的自己概念,自尊感情)には関連性があることが示された。また重回帰分析により,想定していたモデルも部分的に支持する結果を得られた。 さらに,これらの尺度が変化する過程や要因を精査するため,約5ヶ月の間に比較的大きな変化がみられた被験者3名に対して聞き取り調査を実施し,モデルの検討を行った。その結果,運動/スポーツに対する自己効力感が身体的自己概念や自尊感情にも影響することが示唆された。 これらとは別に,大学生,および高齢者を対象として,身体的自己概念,自尊感情,体力テストの関連を相関と重回帰分析から検討した。その結果,大学生では,体力がある方が身体的自己概念や自尊感情の得点も高いことが示された。高齢者においても,体力の高低が自尊感情にも影響することが示唆された。 最後に,身体や運動に関連する領域に対する認知(重要性)が,身体的自己概念の尺度間や自尊感情との関連性に影響するのかどうかを検証した。結果では,特定の領域に対する認知(ここでは重要性)が,他領域への影響力(般化現象)に強弱を加えることが示唆された。
|