研究課題/領域番号 |
12780056
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
舩杉 力修 島根大学, 法文学部, 講師 (30314610)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 伊勢信仰 / 御師 / 檀那 / 江戸 / 移住 / 土産物 / 神明社 / 伊勢領 / 石祠 |
研究概要 |
近世における伊勢信仰の展開過程について明らかにするために、昨年度に引き続き、伊勢神呂(外宮)御師来田新左衛門家の文書の翻刻およびその研究成果についてまとめた(『社会システム論集』第6号)。今年度活字化したのは、貞享2(1685)年の「江戸御祓配帳」である。その結果、近世初期における伊勢の檀那の存在形態について、より明瞭に明らかにすることができた。今年度は近世初期に日本橋魚河岸や佃島の形成に大きな役割を果たした、大坂佃村・大和田村(現在大阪市西淀川区)出身の移住民について検討することができた。特に深川地区では、大和田村出身者が、漁業だけでなく、米屋・材木屋・舟大工など様々な生業に進出し、さらに下総国松戸や常陸国土浦など、江戸を拠点にして、関東地方の諸都市へ進出していたことが分かった。つまり、この「御祓配帳」に記載される人物の多くは近世初期に主として関西地方から移住した移住民であり、彼らは近世初期の江戸の都市・経済の発展に大きく貢献したとみられる。従来こうした移住民は佃島や房総半島への関西出漁移民について注目されてきたが、実際には漁業だけでなく、商工業のいろんな分野に進出していたことが分かった。このように、伊勢御師の檀那帳は、伊勢信仰の発展だけでなく、近世初期における全国各地の社会動態について復原できる、歴史地理学にとって有益な資料であることが明らかとなった。今後は、伊勢だけでなく高野山など他の宗教教団の資料も活用することが必要であると考えられる。さらに、こうした移住民がなぜ他地域の信仰である伊勢信仰を受け入れることとなったのか、社会・経済的な背景だけでなく、内面的な側面についても検討する必要があると考えている。
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