研究概要 |
廃棄物の処理・管理に関する法整備として、近年、各種リサイクル法などが制定されている。しかし、これら廃棄物の分別収集を担当する市町村の財政基盤・廃棄物処理に関するハード、ソフトのインフフ整備の状況はそれぞれの市町村で千差万別である。 本年度はまず家電リサイクル法の制定に伴い、離島部での使用済み家電リサイクルシステムがどのように変わったのか、さらにこれが離島の廃棄物行政にどのような影響を与えたのかについて考察を進めた。また、自動車リサイクル法の制定を視野に入れた自動車リサイクル制度の改革という流れの中、離島特有の廃車処理問題に言及し、その現状分析を精力的に進めてきた。すなわち本研究は、マクロの日本経済が、自由化・国際化・環境規制の強化というプロセスの中にある一方で、九州の離島部に代表される地域社会が過疎化・高齢化の波にさらされる中、「持続可能な発展」、「循環型社会」、「地方分権」、「地域自立」というスローガンを現実のものとするために、各離島地域が具体的にいかなる環境整備を行うべきかという政策提言を行うための基礎的研究である。 主として沖縄県の離島・奄美群島をフィールドとした調査の結果、たとえば、家電メーカーは1つの目安として人口15,000人を超過している離島には「指定引取場所」を設置するという形でも、「拡大生産者責任」を徹底すべきであるということを提案した。とくに奄美大島など周囲に喜界島・加計呂麻島・請島・与路島等という2次離島を抱える離島に「指定引取場所」を設置することは、周囲の2次離島における排出者負担の軽減にも役立つだろう。また、既存のごみ処理施設(たとえば奄美クリーンセンター)などの有効活用についても言及した。廃車に関しても新しい自動車リサイクルシステムにおける離島でのr引取者」としてどのような経済主体が候補として考えられるか、その際の留意点について整理を行った。
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