平成13年度は、以下の諸点を中心に研究を進めた。 1)関連する学会・研究会・ネットワークヘの家政学者の関与の仕方 生命倫理学会・日本死の臨床研究会・学校における生命倫理教育ネットワークに所属している研究者は、倫理学・哲学・法学・医学・看護学・杜会学関係が多数を占めており、家政学関係の研究者はごく少数であった。申請者が所属する新潟大学生命倫理研究会のメンバー構成も、ほば同様であり、個人・家族の「いのち」をめぐる視点からの研究はほとんどなされていなかった。 2)"生命倫理"の捉え方 家政学者に対する調査を実施するための準備として、収集した文献及び関係者へのヒアリングをもとにして"生命倫理"の定義・解釈について整理した。その結果、現段階では、"生命倫理"が"医療倫理"と同義に解釈される傾向にあり、欧米の影響を強く受けている様子がうかがえた。また、生命倫理法の制定へ向けた動きは、生殖補助医療(ART)と発生操作研究のあり方を軸に進んでいることが明らかとなった。 3)ヒアリングと調査票の設計 (1)生命倫理の研究者に対するヒアリング 倫理学・哲学・法学・医学・看護学・宗教学の関連研究をしている研究者に対して、ヒアリングを実施した。また、関連するシンポジウムや研究会に参加して、研究者の関心の動向について情報を収集した。 (2)家政学・家庭科教育学の研究者に対するヒアリングと調査票の設計 家政学原論・家族関係学・家庭科教育の聯を中心に、「いのち」や「生命倫理」の捉え方についてヒアリングを実施した。その結果をふまえて、関係者に対する意識調査の調査票を設計した。現在、プレテストを終え、本調査に向けて調査票の修正作業を実施している。
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