研究概要 |
平成13年度は,昨年度の研究で明らかになった知見をもとにして,より詳細にどのようなコミュニケーション活動支援方略が相互作用を促進するのかを検証した.具体的には以下の手順で研究を進めた. 1)教育学部と理学部の大学生を対象にして,グループのメンバー構成によって相互作用や学習内容理解度にどのような差異が生じるのかを探った.特に,知識の差の少ない等質グループと知識の差の多い異質グループの差異に着目し,慣性課題を用いて各グループではどのようなコミュニケーションが行なわれ,メンバーの理解度にどのような差異が生じるのかを明らかにした(雑誌論文1参照). 2)取り上げられるトピックによってコミュニケーションの内容がどのような影響を受けるのかを調査した.まずは,理科教育で扱われることが多い「正解がただ一つになるトピック(慣性課題)」でのコミュニケーションの特殊性を分析し,支援方略を検討した.さらに,慣性課題とは異なり答えが明らかではないBreathing Earthの観察を通した課題を取り上げ,慣性課題の場合とはどのような点が異なるのかを探った(雑誌論文2参照). 3)中学生を対象にして,「火山」に関する課題を用いてジグソー法やコンピュータを用いたコミュニケーション支援方略の有効性を確認した. 4)一連の研究結果から得られた知見をもとにして,理科教育におけるコミュニケーション活動の実態・意義・改善に関する示唆を得た(著書1参照).
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