研究概要 |
平成13年度は,ATHネットワークを用いた高速ネットワーク環境での高品質テレビ会議システムを用いて,遠隔講義を実施する際の学習環境のあり方を検討した. (1)遠隔学習を効果的な実施を支援する学習環境のあり方について 今回行った実験から,今回利用したシステムの映像品質や音質は遠隔授業として十分なものであることが明らかとなった.しかし一方で,対面時の授業に遜色ない受講状況を実現するためには,資料の提示方法や授業を受講する環境などにおいて改善の必要があり,そのための方策として,講師映像を画面上に常に表示させておくことと一度に受講する人数を少なくすることがあげられる.そのために画像合成を行うことは遠隔教育における資料共有や共同作業の手法として一定の可能性が見いだせたが,対話者に対する指示の出しにくさ,画像合成後の画面構成,課題の種類の影響などが問題として明らかになった.その結果,より大きなスクリーンとあまり複雑な指示を伴わない課題の選択が,今回の方式を遠隔授業で採用するための条件として明らかとなった. (2)WBTを利用した現職教育用教材の開発 情報教育研修のカリキュラムを開発し、それをもとにWBTを活用した研修システムを開発した。その結果、教員のコンピュータ等の操作スキルや情報活用能力を育成する方法として、WBT技法による課題解決をベースとした研修スタイルは有効な研修スタイルの1つであることが明らかになった。 しかし今回情報教育に関する学習指導法を習得させるまでには至っていないことから、教材と課題の内容を再検討し、教員にとって取り組みやすいものにするよう改善する必要がある。 また研修の内容に関しても個々の教員によって求めるものが異なっているのが現状であり、選択性にしてもよかったという意見も見られた。このことから各教員が自分に不足している部分をピックアップし、その不足している部分を集中的に研修していくといったスタイルが今後必要である。そのような形態ににすることで、個々の教員により目的意識を持たせることができ、学習を継続させることができるのではないかと考えられる。またそれを実施するに向けて、情報教育に取り組む上で教員に求められる資質について再検討し、情報教育研修用教材のモジュール化と、そのWBT研修システムの開発がこれから必要である。
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