研究概要 |
本研究では、CSCW場面に一桁の四則演算タスクを採用し(ただし、除式については一部二桁の場合を含む)、相手の顔画像が異なる2種類の計算タスク結果にどのような影響を及ぼすか検討した。 作業は、コンピュータモニタ上にあらわれる一桁と一桁の四則演算式(ただし、除式については一部二桁と一桁の場合を含む)の一の位の解を1セット(45問)続けて解答することであり、単純に正確さを求める条件(Accurate condition,以下A条件)と正確さと素早さを求める条件(Fast and Accurate condition,以下FA条件)の2条件を4セットずつ被験者内要因として実施した(計算タスク要因)。一方、実験中、モニタ上に相手の顔画像が付加される条件(Showed Picture condition,以下SP条件)と付加されない条件(Hide Picture condition,以下HP条件)の2条件を採用し、被験者間要因とした(画像要因)。そして、20組40名を対象とし、2部屋に分かれて交互に1セットずつ実験を実施したが、各セットの結果は双方のモニタ上に表示された。さらに、双方が努力しなければ高得点にならない結果も表示され、その得点を高めることが求められた。 今回の実験より、以下の結果が示された。 (1)A条件の方がFA条件よりも計算ミスが少なく、双方の作業は異なるものと捉えられる。また、FA条件の方がより困難度の高い作業と位置づけられる。 (2)計算タスクの8セットのうち、前半に行われた4セットについて検討したところ、FA条件において、SP条件の方が有意にHP条件よりも計算ミスが多いことが示された。この傾向は作業の後半には示されていないことから、顔画像は視覚的妨害刺激として作用し、作業に十分慣れていない段階での困難度の高いタスクに対する集中力を低下させたと考えられる。
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