研究概要 |
運動部活動への参加による生徒のライフスキル獲得について,まず,生徒のライフスキル獲得程度を測定する尺度の作成を試みた.さらに作成された尺度を利用して,運動部活動における下級生のライフスキル獲得程度と指導者や上級生の行動との関係,及び運動部活動へのコミットメント程度とライフスキル獲得の関係について調査を行った. 1)ライフスキル尺度の作成 1〜3年生までの高等専門学校生464名に24項目からなる調査を実施し分析した結果,20項目からなるライフスキル尺度(コミュニケーション,計画遂行,情緒コントロール,協調性の各スキル)が作成された.さらにその内40名を対象に再テスト法による信頼性の調査を,また同4年生110名を対象に妥当性に関する調査を行い,それぞれ十分な値を得た. 2)下級生のライフスキル獲得程度と指導者及び上級生の行動との関係 運動部活動に参加している323名,及び全く部活動に参加していない361名の高校生を対象に調査を実した.その結果各スキルの獲得に関して,コミュニケーションスキルは指導者の主効果,計画遂行スキルは両者の交互作用,情緒コントロールスキルは上級生の主効果,協調性スキルは両者の主効果が認められた. 3)運動部活動へのコミットメント程度とライフスキル獲得の関係 部活動に参加している514名,及び全く部活動に参加していない569名の高校生を対象に調査を実施した.その結果,部活動にコミットメントしている生徒はコミットメントしていない生徒や全く部活動に参加していない生徒よりも,ライフスキルを獲得していることが明らかになった. 本年度はライフスキル尺度の作成に加え,来年度調査に向けデータ収集を目的とした調査を併せて実施した.各調査の結果,運動部活動への参加とライフスキル獲得の因果関係,及びライフスキル獲得に及ぼす指導者や上級生の影響を推測するに足る情報が得られた.
|