研究概要 |
前年度までの広域分散環境におけるタスク配置の研究を継続するとともに,広域分散環境における実用的なプログラミングプラットフォームの構築に向けた研究を行った. 前者に関しては,ネットワーク上で広域に分散されたデータをアクセス計算を行うプロセスの配置を決める問題を定式化し,アルゴリズムの提案を行った.また,実用的なアプリケーションとしてdata intensiveな処理を想定し,そのためのプログラミングインタフェースとしてpublic objectを提案した.予備的な実験が終了しているが,公刊には至っておらず,今後引き続き研究を継続する予定である. 文献[1]は,インターネット上に散在する計算機が,動的に参加,脱退を繰り返す中で,ひとつの計算を継続させる枠組みについて提案した.同提案では,参加計算機がノード,計算期間のTCP接続を辺とするような木構造を維持しながらメッセージを任意の参加計算期間で交換する仕組み,そして計算機が追加,脱退するときのプロトコルなどを定めている.そのシステム上に,遅延タスク生成(Lazy Task Creation)に基づく動的な負荷分散を行う負荷分散システムを実装した.そして,ray tracingなどの並列計算を,動的に資源が追加されていく環境で継続して実行することに成功した. 文献[2]は,同様のアイデアにもとづき,多数の計算機を同時利用するシェルを設計,実装したものである.[1]と同様計算期間で木構造のネットワークを構築して任意の計算期間の通信を可能にしているが,加えて,計算機やリンクの障害による故障から自動的に復帰(ネットワークの再構築)する仕組みを設計,実装した.
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