研究概要 |
家電機器間の接続のような、機器数が少なく接続が単純なシステムにおいてはGUIを用いたコントローラを用いなくても、機器の接続や電源投入の順序を利用した接続形態の選択が可能であるという昨年度までの成果に基づき、本年度はシステム全体の評価を行った。 その結果、接続しようとする機器の数が増えてくると操作に困難をきたしてくるという、予め想定されていた問題も明確となったが、それ以上に、最終的なサービスを実現するために中間ノードを必要とするようなアプリケーションの実現が大きな問題となることが判明した。これは、たとえば、デジタルBS放送をDVデッキで録画するためには、MPEG2 TSで伝送されてくるチューナからの映像音声を最終的にDVフォーマットで収録せねばならないため、IEEE1394上でMPEG-DVトランスコーダを経由するか、MPEG-NTSC, NTSC-DVという接続をとるなどの措置が必要となるが、機器間の接続にのみ着目していると、こうしたフォーマット上の問題も含めてユーザーが全て意識的に管理する必要が出てくる。この問題は、どの映像をどの装置に録画したいという高次概念と、各機器が利用している映像のフォーマットや物理的接続といった低次概念との間に仲立ちをするしくみが必要であることを示すもので、GUIを用いたコントローラを導入しても解決できるものではない。 本研究では、最終目的を達するための全接続集合をセッションという概念で取り扱い、セッションの中に分岐のない単方向接続であるサブセッションを定義して、機器間の一対一接続を直接ユーザーが利用するのでなく、ユーザーが与えた全体像からコントローラが適切な機器間接続を生成する形で接続管理を行う体系を構築した。 この方法はコントローラに必ずしも表示デバイスを要求するものではなく、価格的制約の強い家電機器などにおいては有効な手法であると考えられる。
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