研究概要 |
初年度の平成12年度は,変形する3次元物体の形状解析を目的とし,時系列3次元ディジタル画像から形状を表す特徴量を算出するアルゴリズムを提案した.さらに,プログラムの実装と計算実験を行い,アルゴリズムの評価法の検討も行った.特徴量としては,物体の体積,表面積,曲率などの幾何学特徴量と,画像中の物体の個数,各物体の穴,空洞の個数などのトポロジー特徴量の2種類を扱った.これまでの研究成果と今後の検討課題を以下にまとめる. _ トポロジー特徴量は大局的な形状情報であるにも関わらず,ほとんどの場合は変形した部分のみの差分計算で算出可能なこと(変形が微小な場合)を示した. _ 幾何学特徴量のうち,ディジタル画像のような離散空間では曲率は定義できない.そこで,まず曲率0の平面に着目し,代数や組合せトポロジーによる関連研究の成果を元に離散空間における平面の特性を明らかにした.現在は,その特性を利用した曲率に代わる特徴量を検討しており,将来的には曲率が0以外の曲面にも対応した曲率に代わる特徴量の提案を目指す. _ 特徴量算出アルゴリズムの評価尺度には,計算値の真値との誤差や,画像の解像度を無限に高くしていったときの計算値の真値への収束性などがある.そこで,幾何学特徴量における計算値の真値への収束性を調査する共同研究実験に参加し,体積に関しては成立する真値への収束性が表面積では簡単に成立しないことを実験的に示した.現在はその原因を追究中である.また,トポロジー特徴量の真値への収束性に関する検討は今後の課題である. _ 変形する物体におけるトポロジー特徴量と幾何学特徴量の相互関係は明らかになりつつあるが,互いの特徴量の変化を反映した特徴量算出アルゴリズムの提案など,具体的な機構の検討が必要である. 上記のそれぞれの研究成果について,国内外の会議において発表を行った(あるいは行う予定である).
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