研究概要 |
昨年度,データベース化した面接型のプログラム教育の履歴データと,そのデータをもとにしたシステム設計をもとに,要求仕様獲得技法を確立した.本結果は電子情報通信学会の英文論文誌4月号に再録が決定している. 本研究では,実際のシステムを作る前の効果の見積りということに焦点をおいている.また,研究を進める過程において,複数の教官もしくは学生から得られた要求の併合に関する手法の必要であることがわかった.これらの点を考慮した上で,昨年度提案した要求獲得法を改良したものが上記論文の骨子である. 具体的には,ゴール指向分析法におけるゴールと,ゴール間の依存関係に関して点数付けを行う.その点数をもとに,要求獲得の途中でも,最終的に作成される要求仕様書の品質を定量的に計算することを可能とした.品質としては,IEEEによる標準で定義されている,8つの特性;妥当性,非曖昧性,完全性,無矛盾性,重要度のランク付け,検証可能性,変更容易性,追跡可能性を採用している. 並行に行われる要求獲得の併合については,要求獲得段階途中における仕様書と,その仕様書に対する顧客の満足度を対とし,それらの履歴を記録することで,併合可能か否かは仕様書における変更部分の重複の有無で判断し,併合可能な場合,併合後の要求仕様書の満足度を併合前の満足度(項目別,立場別の行列で表現されている)を併合するための計算方法を提案し,その妥当性を例題記述を通して確かめた. 面接型支援システムについては,当初計画の内,学生から提出されるレポートと教師からの評価項目の非同期的な共有を可能としたシステムのプロトタイプシステムを,卒業研究の指導を通して構築した.本システムによって,面接指導の効率化,特に頻繁に発生する指導項目に関する再利用が向上したと思われる.
|