研究概要 |
今年度は当初の計画どおり,「進化ソフトウェア」を構築するための方法論を確立することに焦点をあて研究を行った. まず,前年度の成果を踏まえ,分散ネットワーク環境下におけるモバイルエージェントの通信量に関する研究を行った.モバイルエージェントは,コンピュータ間の自律的移動能力を持つプログラムであり,従来のステーショナリエージェントのメッセージ通信に比べ,通信コストの削減が可能となるなどメリットが大きい.しかしながら,モバイルエージェントが頻繁にコンピュータ間を移動してしまうと,移動のためのコストがかかってしまうので,いつ・どのような条件で移動するのかを明らかにしなければ,通信コスト削減の効果は薄い.本研究では,計算機シミュレーションによりモバイルエージェントの移動が総通信量に与える効果について定量的に評価をした. 次に,分散ネットワーク環境下におけるモバイルエージェントの挙動を詳しく調べるために,分散不完全制約充足アルゴリズムの重要な部分クラスである分散最大制約充足アルゴリズムに関する研究を行った.従来の厳密解法である同期型分枝限定法と近似解法である反復分散ブレイクアウト法を合わせて用いることにより高速化に成功した. また,進化ソフトウェアに関連して,インターネットセキュリティや情報家電に関する基礎的な研究なども行い,次年度以降にも継続して研究できるだけの成果をあげることができた.次年度は,今年度の成果を踏まえ,もう少し具体的に問題領域を決定し応用研究も行う予定である. 以上の研究成果をまとめ,論文として公表および投稿(準備)中である.また,学会の研究会などにおいても口頭発表により研究成果を報告している.
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