研究概要 |
本年度は,以下の項目について検討を行い新しい知見を得た. (1)エージェント開通信の定量的評価・・・エージェントがフェロモン型通信によってどのような振る舞いを行うことが可能であるかを進化型計算を用いた学習によって検討した.フェロモン型通信では,単に揮発性をもつスカラー量として物質を知覚したり,放出したりすることによって通信を行う.エージェントは与えられたタスクを効率的に行うことを目的として,フェロモンの知覚に対する行動規則とフェロモンの放出戦略について学習を行う.その様子をエントロピーと情報量を導入することによって外部観測的に定量評価を行うことが可能となった.この評価の結果,エージェントの通信戦略は自己強化的に通信を自己組織化していくことが確認された.また,初期パラメタの僅かな偏りによって異なる通信へと学習されることも確認された. (2)コロニー型エージェントによる最適化・・・フェロモン型通信を行うエージェントを複数のサブ集団(コロニー)に分けて探索を行う手法によって巡回セールスマン問題の解法を試みた.各コロニー内では,アントアルゴリズムと同様にエージェントの放出するフェロモンに対して,positive feedback(フェロモンの強い都市間をより良いものと判断する)を利用して探索し,コロニーの異なるエージェントの放出するフェロモンに対しては,positive feedbackの強さを変えたり,negative feedbackを与えることによって,コロニー間の相互作用も含めた探索を可能とした.コロニー間の相互作用の形態を変更することによってより効率の良い探索が可能となることを示した.巡回セールスマン問題のベンチマーク問題を対象とした比較実験によってnegative feedbackの利用による局所解への初期収束回避が起こりアントアルゴリズムより良好な結果を得ることできることを示した.
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