研究概要 |
「複雑な3次元線状構造分類のための画像特徴量」に関する基礎的な検討のために,木構造をもつ線図形として,肺血管を取り上げそれの解析を進めた. 近年,X線CT装置の発達により,人体内部の構造を精細に表す3次元画像が容易に得られるようになった.これに伴い,膨大な量にのぼるこれら3次元画像の診断を,計算機で支援しようとする研究が活発化している.肺腫瘤の質的診断において,病変部とその周辺組織との関連を明確にすることが重要とされている.肺野末梢に生じた悪性腫瘍(特に腺がん)においては,腫瘍の成長によって腫瘍付近の血管・気管支などの組織が腫瘍に引き込まれる「集束」と呼ばれる現象が多く見られる.局所的にこの集束を定量化する試みは今までにも存在しているが,集束が存在しない症例の正常血管を集束性血管と判定する恐れがあった. 本年度は肺動・静脈自動認識のための基礎検討として,領域拡張法を用いた認識手法について行った.本手法では肺門部付近の肺動・静脈に領域拡張の開始点を設定し,そこから領域拡張法を用いて抽出を行う.その結果,領域拡張法を単純に用いる手法では問題点が存在することが分かった.またさらに,領域拡張法を用いて肺動・静脈を認識する手法と,その結果から分かった問題点改善のためのキースライス認識手法について検討を行った.
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