研究課題/領域番号 |
12780323
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会システム工学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
角 一典 北海道大学, 文学研究科, 助手 (10312323)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 巨大公共事業 / 政策過程 / アリーナ / 政府間関係 / 整備新幹線 / 千歳川放水路 / 自治体間力学 / 戦略 / 受益性 |
研究概要 |
本年度は、2003年の完成を控え、事態が急展開を見せている九州新幹線鹿児島ルートを中心に現地調査を行った。九州新幹線鹿児島ルート沿線においては、開業間近となった現在、並行在来線問題や渇水被害に対する恒久対策問題等で関連主体の動きが活発化しており、これらの問題に関連する自治体への聞き取り調査を行った。また、千歳川放水路問題に関しては、自然保護団体に対する聞き取り調査を進めた他、公開となっている千歳川流域治水対策全体計画検討委員会を傍聴した。また、特に、千歳川放水路問題に関しては、研究上の基礎資料として、文献リストと詳細年表(原稿用紙換算で250枚分)の充実化を進めた。 本年度にかけて中心的に調査を行った、九州新幹線鹿児島ルートおよび千歳川放水路は、奇しくも両者とも道県単位での結論のまとめが迫られていたという状況によって、さまざまな特徴が強調されている。巨大公共事業に関連する課題を討議するアリーナにおいて道県は一定の役割を担うが、課題の性質やアリーナをめぐる状況により、その行動は異なる。二つの事例では、解決を求められていた課題は受苦性が目立つものであり、政治過程においてこうした課題は、結論が、タイムリミットが迫るまで放置される傾向がある。県が主要なアクターとなっている並行在来線問題においては、県の譲歩によって問題の進展が図られたが、掲水問題においては、広域に被害が生じているにもかかわらず被害処理の範囲が市町村にとどまっており、県の活動は極めて不活発である。また、千歳川放水路問題においては、問題の範囲が市町村を超える広域であるが、事業主体が北海道開発局であるということから積極的にイニシアティヴをとろうとしない。このように、上位自治体として調整機能を期待されている都道府県レベルの自治体は、置かれた状況によってその機能を選択的に行使している。
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