研究概要 |
今年度は、前年度調査研究の延長として、金融市場の形態とコンビニの需給のマッチング戦略にヒントを得て,排出権市場成立の条件を要求ステージのマッチングと捉えなおし、ともすれば非現実的と懸念される排出権の売買による温暖化防止が経済モデルによって評価しえるよう理論構築に大きなヒントを得る成果を得ることができた。 「国内で排出権が売買された場合の都市空間構造はどのように変化するか。」に関しても、産業構造の違いがパラメータとなって都市空間構造が変る可能性をモデル化することが今年度の研究の主眼となった。上述の目的を追求すべく、本年度は大まかに、次の二つのステップを踏み研究をまとめた。(1)「排出権の(タイミングの)多様性市場を含む土地利用・立地モデル」の構築 (2)シミュレーションモデルによる政策提言。 さらに、6月の第八回ヨーロッパ不動産学会(アリカンテ大学、経済学部Paloma Taltavull大会委員長)において、初期段階ではあるが、当該モデルの発表を行うことができた。結果として,排出権売買によって国際間の分配上の変化をもたらすことは明らかであるが,市場が不完全な場合(排出権市場の条件を満たさない場合),その歪みは一国内土地利用のモノカルチャー化,即ち,製造業なら製造業利用の土地が優勢になる国と,農業利用のみの土地に頼らなければならない国とに分化する,といった『一次産品問題』『南北問題』を助長し得るケースを指摘することができた。
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