CAVE方式(あるいは没入ディスプレイ方式)のVR(Virtual Reality)装置を利用して、科学研究データを立体的に表示・解析するための汎用プログラムVFIVEを開発した。VFIVEは3次元の場のデータを、そのデータの中に「入り込んで」解析することを目的としており、特に磁気流体力学(MHD)シミュレーションのデータ解析や、流体力学のシミュレーションデータ解析に威力を発揮する。VFIVEプログラムのユーザは、指定されたフォーマットでデータを用意すれば、コマンド一つを打ち込むだけで、すぐにそのデータを立体的・対話的に解析することが出来る。VFIVEはC++言語で書かれており、その内部で利用する基礎ライブラリはCAVEライブラリとOpenGLだけである。そのため核融合研のVR装置CompleXcopeだけでなく、その他のCAVE方式VRシステムに容易に移植可能である。現在のVFIVEが持つ主な機能は以下の通りである。(1)3次元ベクトル場の力線(磁力線や流線など)の対話的な追跡と表示。(2)3次元ベクトル場の立体矢印の表示。(3)手の位置からのテストパーティクルの放出。(4)3次元スカラー場の等値面の表示。(5)スカラー場の断面分布の表示。 本年度は、このVFIVEの第1版を完成させた。また、日本語マニュアルの整備も行った。この日本語マニュアルは研究代表者のWebサイトで公開している。これまでに、このVFIVEプログラムは、(a)乱流シミュレーションの解析、(b)太陽コロナ磁場の解析、(c)MHDダイナモシミュレーションデータの解析、等に実際に応用した。
|