研究概要 |
京都大学原子炉実験所の京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の固体減速架台において、臨界集合体とKUCA附設の加速器とを組みあわせて加速器駆動未臨界炉を模擬した体系を構築し、加速器パルス中性子源を用いて14MeV中性子を体系に入射し、^<237>Np/^<235>U核分裂率比を背中合わせ型核分裂率計数管(BTB検出器)を用いて測定した。その結果、^<237>Np核分裂率と^<235>U核分裂率の時間応答には有意な違いが観測され、未臨界体系における中性子スペクトルの時間依存性を反映した測定が可能であること、測定結果とモンテカルロ法によるシミュレーション結果とは統計誤差内で一致することが明らかとなった。しかしながら、同時に、現在の中性子パルス強度では核分裂率比測定データの統計精度が不十分であり、検出器の検出効率の向上、加速器ビーム強度の向上等の課題が存在することも明らかになった。 次に、上記核分裂率比の計算精度を検証するために、1臨界体系における超ウラン元素核分裂率比測定実験(^<237>Np/^<235>U及び^<241>Am/^<235>U核分裂率比)の再解析として、実験データの見直し及び解析手法の精級化を行い、断面積ライブラリに起因する誤差要因の抽出を行った。この結果、特に^<241>Am核分裂断面積について、現在の断面積データのばらつきが実験解析結果に及ぼす影響が大きいことが明らかとなった。 また、時間依存核特性計算の妥当性の検証のための基礎データとして、パルス中性子入射時における体系内中性子束の時間変化を空間点・エネルギー別に測定するために、カドミウムカバー着脱式シンチレーター塗布型光ファイバー検出器を試作し、未臨界体系におけるパルス実験を行った。この結果、^6Li(n,α)反応率のエネルギー領域別時間応答の空間依存性が観測され、本検出器システムのパルス中性子実験への適用性を確認することができた。
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