研究課題/領域番号 |
12780408
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
岡山 祐子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助手 (40311930)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 放射線照射 / 免疫抑制 / p53 / ノックアウトマウス / 抗体産生細胞 / アポトーシス |
研究概要 |
免疫機能がピークに達した若いマウスに放射線を照射すると、被爆したマウスの免疫活性およびT、B細胞数が急速に線量依存的に低下する。この急性影響として見られる細胞死には、代謝は継続しつつ分裂する能力のみを失う増殖死と代謝が急激に停止し細胞が解体してしまう間期死(アポトーシス)とがある。近年、アポトーシスに関与するp53遺伝子の存在が明らかになり、p53ノックアウトマウスを利用することにより、増殖死とアポトーシスとの区別が可能になった。そこで本研究では、放射線による免疫抑制におけるこれら2種類の細胞死の関与の程度を定量的に明らかにした。放射線医学総合研究所から提供されたB10系統(放射線感受性)およびC3H系統(放射線抵抗性)のp53ノックアウトマウスを本学動物施設に導入した。照射群と非照射群に分け、照射群には生後10週齢にX線3Gyを全身照射し、照射24時間後にヒツジ赤血球(SRBC)で免疫した。免疫5日後にプラーク形成測定法により各脾臓あたりの抗体産生細胞数を算出し、同時にPCR法にて各個体のp53のタイピングを行った。全出生子の雄/雌比はB10、C3Hともに雄が多い傾向にあった(B10:p=O.01、C3H:p=0.06)。抗体産生細胞数はいずれのp53タイプにおいても照射群で有意に細胞数が減少し(p53+/-:生存率4.9%,p53-/-:9.8%)、p53(+/-)とp53(-/-)間で生存率に有意差はなかった(p=0.20)。照射したB10とC3Hの間で細胞の減少数に有意差がみられ(p=0.01)、C3Hがより細胞減少が少なかった。これまでのin vitroおよびin vivoの研究でp53ノックアウトマウスの脾細胞または胸腺細胞は、放射線照射によってリンパ球数の減少を起こさないと報告されていた。しかしながら、本研究では、抗原刺激によって誘導される抗体産生細胞数は照射したノックアウトマウスでも同様に減少した。したがって、放射線による抗体産生の抑制においてp53遺伝子依存的アポトーシスの寄与は小さく、大部分が増殖死によることが示唆された。この点については追試確認の必要がある。
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