研究概要 |
ほ乳類においては、オートファジーは細胞の維持・分化や細胞死の際に重要な役割を果たし、オートファジーの欠損は重篤な神経変性疾患や筋疾患をひきおこす。。酵母においてApg7pは、オートファジーの際に、オートファゴソームの膜形成に関わる因子として単離され、Apg12pおよびApg8pを基質としたユビキチン様修飾システムのタンパク質活性化酵素(E1)であり、この2つの異なるモディファイアーを協調的に修飾させながら、膜形成を促進する酵素である。またApg3pはApg8pの新規E2酵素である(Ichimura et al., 2000)。私は、このタンパク質修飾システムが膜形成に関与することから、哺乳類Apg7p,Apg3p,および3つのApg8pホモログ(MAP-LC3、GABARAP、GATE-16)に注目して単離・解析をおこなってきた。MAP-LC3はMicrotubule Associated Protein(MAP)のサブユニットの一つとして脳から精製され、GABARAPはGABA受容体に会合するタンパク質として単離され、GATE-16は、ゴルジ体で輸送活性を促進させるタンパク質として、脳から単離されてきており、ヒトApg8p修飾システムが脳神経機能に重要な働きをする事を示唆している。平成12年度にヒトAPG7遺伝子産物が、ヒトApg12p,ヒトMAP-LC3,GABARAP,GATE-16の4つのタンパク質を基質としたユニークなE1酵素であることを示した(Tanida et al, 2001)。また酵母Apg7pの必須領域解析をおこない、C末端が酵素活性やE1-E2複合体形成に必須であることを示した(Komatsu et al, 2001)。平成13年度には、ヒトAPG3 cDNAの単離・解析をおこない、この遺伝子産物が3つのヒトApg8pホモログを基質とするE2酵素であることを示した(Tanida et al 2002a)。またAPG7遺伝子ノックアウトマウス作成の目的でマウスAPG7 cDNAを単離・解析し、Apg12pが優先的な親和性を持つ基質であることを示した(Tanida et al, 2002b)。
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