研究課題/領域番号 |
12780636
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
福岡 豊 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (30242217)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 姿勢制御 / 感覚フィードバック / 視覚 / 前庭 / 相互作用 |
研究概要 |
本研究では、ヒトの直立姿勢制御における感覚フィードバックの特性に関する研究を行った。この制御系は、視覚、前庭、体性感覚の3つの系で身体傾斜角を検知し、姿勢を保持するのに必要なモーメントを発生するものである。各感覚系が単独で働く条件下で各系の特性を同定した。その結果、視覚系は長期および短期の身体動揺を抑制することが示唆されたが、これは視覚系が身体動揺を検知する能力が高いこと、および視野内に水平や垂直な線など傾斜角の基準となりうる情報が含まれることによると考えられる。一方で、前庭系は傾斜角の検知に関する閾値が大きく、長期・短期の身体動揺とも抑えることができなかった。 視覚系が主に働く周波数(ワーキングレンジ:WR)は0.3Hzまでの低周波数域であるとする報告が多数ある。本研究では、身体動揺のスペクトルを比較することによりWRを推定する方法を提案し、視覚系のWRが従来の報告に一致することを確認した。一方、前庭系は0.6Hz付近にWRを持つことが示唆された。体性感覚系のWRは、0.2Hzと0.9Hz付近にあり、低周波域は視覚系とほぼ一致している。これら3つの系のWRを考え合わせると、体性感覚系の高周波域と前庭のWRが若干ずれているものの大まかには(体性のWR)≒(視覚のWR)+(前庭のWR)となっている。すなわち、視覚系と前庭系が相互作用することにより、体性感覚系とほぼ同様な特性を示すものと考えることもできる。通常の直立時には、体性感覚系が主に働いていると考えられているので、視覚系と前庭系は相互作用することにより、視覚系の大きなむだ時間および前庭系の身体傾斜検知の閾値が大きいという短所を補い合っていると考えられる。しかし、前庭系のWRを決める実験の被験者が5名と少なく、この点についてはさらなる検討が必要である。
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