研究概要 |
大型発電プラントでは,アンモニアが年間1,000tも搬入されている。型船の場合10-100t/yのアンモニアを必要とする。この規模のアンモニアを船舶上で供給することが条件となる。当グループはルテニウムを主体とする新アンモニア合成触媒を開発してきたが,反応条件によってその働きが異なるため,本条件下で最も有効な触媒の開発を行ってきた。プロセス完成のためにはアンモニア分離用の吸着剤も必要である。 本年度は生成アンモニアの分離プロセスについて研究を行った.分離材料として,ケミカルヒートポンプへの適用が検討されている金属ハロゲン化物を用いた. MgCl_2・H_2O,CaCl_2,CaBr_2,SrBr_2は,本プロセスにおいて温度スィング法(298〜473K, 40kPa)によってアンモニアを分離することが可能であり,MgCl_2・H_2Oの分離容量(26.1mmol g^<-1>)は,同条件におけるNa-Yの分離容量(4.7mmol g^<-1>)を大きく上回った.しかし圧力スィング法の想定範囲内(60〜10kPa, 298K)でアンモニアを可逆的に吸収・放出しないため,不適であった. 共通陽イオンに2種類の陰イオンを複合させた場合,固溶体を生成し,その吸収挙動はそれぞれの成分の中間的な性質を示した。CaClBrのアンモニア吸収放出が,本プロセスの圧力スィング条件内で可逆的に進む。その分離容量(16.4mmol g^<-1>)は,同条件のNa-Y(1.3mmol g^<-1>)を大きく上回った。CaCl_2のハロゲンをBrで置換することにより,そのアンモニア吸収圧が低圧側にシフトし,その組成比が2:1〜1:2の範囲の場合に,本プロセスの圧力スィング条件内で可逆的に進む。特にCaCl_<1.33>Br_<0.67>の場合,分離容量(27.3mmol g^<-1>)は,本研究で用いた試料の中で最大値を示した.
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