研究課題/領域番号 |
12800001
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研究種目 |
特別研究促進費
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡田 弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40000872)
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研究分担者 |
大島 弘光 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10213703)
笠原 稔 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40001846)
宇井 忠英 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10007164)
平林 順一 東京工業大学, 火山流体研究センター, 教授 (30114888)
渡辺 秀文 東京大学, 地震研究科, 教授 (20113649)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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キーワード | 火山噴火予知 / 火山災害の軽減 / デイサイトマグマ / マグマ水蒸気爆発 / 水蒸気爆発 / 火山性地殻変動 / 有珠山 / 溶岩ドーム / 2000年有珠山噴火 / 火山災害 / 災害情報 / デイサイト質マグマ / 潜圧溶岩ドーム |
研究概要 |
平成12年有珠山噴火では、噴火予知情報に基づく事前避難が大きな効果を上げた。一方、1万5千人の住民避難や、広域の経済的影響等、深刻な社会助言が求められた。火山活動が活発な当初は、主要なメンバーが当番で北大の観測所に常駐し、広範な研究協力者と共に、調査打ち合わせに始まり、深夜まで研究調査成果を討議した。研究成果の速報は、火山噴火予知連絡会有珠山部会に連日提出され検討され、国の対策本部の会見等で本研究グループのメンバーなどが解説を行うなど、組織的な活用が計られた。国による監視ヘリコプターの活用と解説にも取り組んだ。これらの研究活動により、地元行政や避難住民にとって必要な専門的な諸情報が、本研究班が中核となった「有珠山総合観測班」により、迅速かつ組織的に提供された。その後も、火山活動終息や避難解除の総合判断における助言を含め、地域社会の安全な再生に向けて、災害現場における研究者・行政・住民・マスメディアの一つの理想的な関係が構築された。精密震源決定、GPSや空振観測網、各種の測地測量、電磁気的・熱学的調査、噴出物や火山ガス調査などの観測研究に加え、多様な噴火機構や潜在溶岩ドーム形成機構の解明、泥流災害とその予防策、将来の災害軽減への提言など多くの研究成果を得、その一部は論文や報告書の他、住民説明会や行政機関の委員会資料などで活用された。潜在溶岩ドーム「2000年新山」は2000年8月下旬以降隆起から沈降へ転じ、地震活動も9月以降噴火以前の低い背景的レベルに落ち着き、マグマの活動は5ヶ月間で終息したと判断できた。しかし一方では、火口域で僅かな土砂噴出等がなお1年間ほど継続し、貫入溶岩の熱活動が一部噴出的能力を持続した。2000年有珠山噴火の推移予測と火山防災における学問的な諸情報の組織的活用の意義が社会に認知されたことは、今後の学問を展望する上で重要な基盤になるものと考える。
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