研究分担者 |
川瀬 博 九州大学, 人間環境研究科, 教授 (30311856)
岡田 篤正 京都大学, 理学研究科, 教授 (90086174)
西田 良平 鳥取大学, 工学部, 教授 (90027269)
室崎 益輝 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (90026261)
南 宏一 福山大学, 工学部, 教授 (10079519)
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研究概要 |
2000年10月6日,鳥取県西伯町を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し,日野町や境港市で震度VI強を記録した。消防庁による10月18日現在の被害は,死者なし,重軽傷者137人,全壊149棟,半壊773棟となっている。気象庁の発表したマグニチュード(Mj)7.3は,1995年兵庫県南部地震のMj 7.2より大きかったが,被害は兵庫県南部地震に比べて非常に少なかった。元々,気象庁発表のマグニチュードは大きすぎるという指摘もあった。実際,震源における断層面の大きさと断層のずれの量から求められるモーメントマグニチュード(Mw)は兵庫県南部地震が6.9に対して今回の鳥取県西部地震のMwは6.6であり,エネルギー比にすると2.5分の1程度である。被害が小さくてすんだ理由として,阪神地区に比べて山地の硬い地盤に加え,冬場の積雪に備えた頑丈な構造の家屋が多かったことなども指摘されている。 地震発生の地学的背景として活断層があげられる。震源域には活実度IIIの鎌倉山南方断層が確認されていたが,この断層の走行が東北東であるのに対し,本震の破壊面はそれとほぼ直交する方向であった。このことから鎌倉山南方断層は今回は活動しなかったと見られている。本震による断層は明瞭な形では地表に現れなかったが,西伯町上中谷の国道180号線から東の脇道に入ったところで,地震断層の一部分と見られるクラックが地質調査所によって見いだされた。一方,地震学的背景として,本震の震源域を含む周辺の地域では10年以上前から活発な地震活動があったことがあげられる。1989年からはマグニチュード5クラスの地震が6回も起きていた。これら一連の活動域と今回の地震の破壊域はほぼ完全に一致する事も明らかにされた。 本震直後の精細な余震分布を求めるために地震予知研究センターから緊急観測班が出動したのをはじめ,被害調査,断層確認調査,地盤調査など様々な調査観測が,本特別研究促進費によってなされた。また全国大学による合同の稠密余震観測が実施され,震源域に57観測点を展開し11月下旬まで観測を継続した。その他にも測地学的観測,電磁気学的観測,地下水観測など多くの観測が精力的に行われた.現在なおデータ解析中の観測研究もある。
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