研究課題/領域番号 |
12834006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
上田 よし亮 (上田 皖亮) 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00025959)
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研究分担者 |
奥村 浩士 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50026241)
VOLODYMYR Riabov 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 助教授 (10325904)
高安 美佐子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 助教授 (20296776)
倉光 正己 京都大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40026084)
引原 隆士 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70198985)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 同期現象 / 分岐現象 / カオス現象 / 割れた卵形アトラクタ / カオスの海 / 時空間カオス / 結合電磁弾性梁 / 概周期波動 / カオス / 電力システム / インターネット・トラフィック・フロー / スライダー・ブロック・モデル / パワーエレクトロニクス / 三次元発振器 |
研究概要 |
複雑系科学誕生の契機となったカオス現象発見の一道程として、同期現象の研究が挙げられる。同期現象は電力システム・通信システムなどをはじめ、工学のあらゆる分野において利用されている、代表的な非線形現象である。 本研究課題で対象とした同期現象は、近年注目されている準周期同期現象、カオス同期現象をはじめ多自由度非線形系や分布系における自己組織化現象など、いわゆる広義の同期現象を対象としている。本研究組織は現象の解明とその工学的応用を目標として研究を行ってきた。本研究グループが得た主要な実績を以下に要約する。 割れた卵形カオスアトラクタは強制自励振動系に現れる代表的なカオスアトラクタで、本研究代表者によるアナログ計算機実験によって40年前に発見された。非線形力学に現れる二階の代表的な三個の方程式、すなわちRayleigh、Duffing、およびVan der Pol方程式を統合した二次元非自励(周期)方程式を構成し、これらに微小パラメータ理論を適用した詳細な数値実験を行い、割れた卵形カオスアトラクタの起源は保存系Duffing方程式のカオスの海に在ることを突き止めた。この成果は、カオスアトラクタの分類をはじめ、構成などの逆問題ないしは複雑系科学の進歩に一石を投じた成果と考えられる。 電気回路結合システムの概周期・カオス同期現象の研究に関連して、空間的に結合した電磁弾性梁の装置-弾性的連続・電磁的離散系-を製作し、実験的検証と同時に、現象を記述する数理モデルの検討をおこなった。本研究分担者の行った実験結果から、連続体において生じる長波長非線形波動は、実験装置の大きさに制限されて観測されなかったが、短波長波動現象を説明するのに偏微分方程式による現象の記述は物理的正当性を欠くことが示された。偏微分系、常微分系の中間に位置する有限非線形結合系の振動、同期現象、波動現象は、実験における観測結果との比較から、差分微分方程式系における力学によって定性的に説明ができ、その不安定定在波解の高次元多様体間の関係が波動の発生に大きく関与することを示した。この結果は現実の結合システムの諸現象と数理モデルの関連性に対する大きな知見と考えられる。
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