研究概要 |
本研究では、我が国における青少年の生命や健康を損なう危険行動とその関連要因について明らかにすることを目的に,全国調査を行った.危険行動に関する調査内容は,米国疾病管理センター(CDC)のYouth Risk Behavior Surveillance(1990-1999)を参考にした.また,関連要因に関しては健康価値観,規範意識,自己肯定感,支援認知,危険行動回避の自己効力感,ヘルスローカスオブコントロール,ストレスマネジメントの自己効力感の7つについて調査した.調査時期は,2001年10月から12月である.調査対象は全国の全日制高等学校の中から,層化無作為抽出された207校(公立152校,私立55校)の1〜3年生である.学校の回収率は51.2%(106校)であり,我が国におけるこの種の全国調査としては高率であった.有効回答数は11,113人(回収された調査票における有効回答率は99.2%)である. その結果,身体運動(ストレッチ運動等),食行動(危険なダイエット等),喫煙,飲酒,薬物乱用(シンナー,覚せい剤,大麻),性的行動(性行,避妊方法等),交通安全(自転車の飲酒運転等),暴力(武器の携帯,暴力行為等),自傷行為(自殺願望等)などの危険行動の実態は,憂慮すべき状況であることが示された.関連要因については,7つの要因と9つの危険行動(有酸素運動,朝食,喫煙,飲酒,シンナー乱用,性交,シートベルト着用,暴力行為,自殺願望)について検討した結果,男子の性交経験と健康価値観,男女の喫煙経験およびシンナー乱用経験とストレスマネジメントの自己効力感を除くすべての項目において,両者間の関連が裏付けられた. 本研究において,我が国の青少年の危険行動防止は重要な課題であり,実態に即した教育が急務であること,そして危険行動に共通する関連要因の改善が必要であることが明らかにされた.
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