研究課題/領域番号 |
12839015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物資源の変換と展開
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
菅沼 俊彦 鹿児島大学, 農学部, 教授 (90117515)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | サツマイモ / 澱粉粕 / 酵素分解 / 食物繊維 / 糖分析 / ペクチナーゼ / アラビナナーゼ / 糖質資源 / キャッサバ / 酵素処理 / 食物せんい / プロトペクチナーゼ / 多糖分解酵素 |
研究概要 |
サツマイモやキャッサバのような熱帯性根菜類から澱粉が製造されており、同時に副産物として澱粉粕を生じる。澱粉粕は細胞壁多糖が主成分で、食物繊維の元となる。本研究では、サツマイモ、キャッサバ、ジャガイモの澱粉粕から澱粉を除去して細胞壁物質(CWM)を調製し、それら糖組成の特徴と、酵素分解による可溶性食物繊維への転換を試みた。 まず、各植物の細胞壁成分の特徴を明らかにするために糖組成を分析した。難溶性の試料、特に高含量のセルロースからなる試料を完全加水分解するためには、12M硫酸で予備浸漬した後に1M硫酸で加水分解することが必須であった。単糖分析はHPAEC-PAD法で決定したが、その際通常のカラムPA-1カラムでなくPA-10カラムの方が良い分離結果を得た。この分析条件で、3種のCWMと各多糖画分の糖組成を決定した。多糖画分のうちヘミセルロース画分に、ガラクトース含量に顕著な差異があるなど、3種の植物組織の特徴が現れることが分かった。そして、キャッサバの細胞壁成分の糖組成を初めて明らかにできた。 次に、可溶性食物繊維へ転換するための細胞壁溶解酵素を産生する菌を土壌から検索し、バチラス属M4菌を分離した。そのM4粗酵素を用いて3種のCWMの可溶化を行った。粗酵素中には、ポリガラクツロン酸リアーゼやアラベナナーゼを主体とする多糖分解活性が含まれていたが、セルラーゼ活性はなかった。可溶化された糖の成分を分析したところ、ガラクツロン酸が主成分で中性糖の種類もペクチン画分に認められるものと同じであった。すなわち、本酵素は不溶性ペクチン質を可溶化するプロトペクチナーゼであることが示唆された。 さらに本酵素による分解様式を探るために、可溶化物をゲル濾過で分画し、還元後加水分解して糖アルコールとして末端糖の同定を行ったところ、低分子の画分はガラクトースで、より高分子の画分はラムノースであった。すなわち、CWM中の不溶性ペクチン質のガラクタン部分とラムノガラクツロン酸部分が、2種の酵素で切断されて可溶化し、可溶性食物繊維を生成することが明らかとなった。すなわち、澱粉粕を原料として、酵素分解により可溶性食物繊維を調製する方法を開発できた。
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