研究概要 |
主原料(高温炭粉)と天然物由来糊料(アルギン酸ナトリウム、工業用スターチ糊)、生物由来バインダ(イ草、焼酎廃液、ヒノキ樹皮ほか)、光触媒(二酸化チタンの粉末・ゾル・スラリー)をハイブリッドさせて、高温炭シート・ボード(ハイブリッドリサイクル材)の試作を行い配合比や製造条件、機能を検討した。1.ボードの焼結においては高温炭粒子径を揃えることが重要で、シートの作成では0.1mm〜5mm粒子径が混在したものが適していた。2.ボード製造の糊料としてはアルギン酸ナトリウム、スターチ糊とも適していたが、後者はシート製造には不適であった。3.シート製造のバインダはいずれの農工産業廃棄物も有効であり、特にイ草や樹皮は繊維素として有効で、形状や引っ張り強度に優れていた。4.光触媒担持ボード・シートの試作では、二酸化チタン粉末層を重ねて焼結する製造法を開発した。ゾルやスラリーは塗布後、200℃で1時間焼成すると、エチレンガスの吸着・光分解能が種類によっては20%〜40%向上し改善されたが,シートは脆化し実用上の引っ張り強度が得られなかった。そこで、常温乾燥タイプの光触媒機能ゾルを塗布したシート・ボードを作成したところ,1〜2時間で飽和に達し,コントロールよりもエチレンガスの吸着・光分解に優れていた。なお、二酸化チタン粉末担持ボードの分解は最も優れていた。5.有機物バインダの光分解を抑制するために,改質光触媒を合成し,高温炭シートへ適用したところ、シート表面で一部分散したが固定化された。エチレンガス吸着・光分解能はゾル塗布表面加工シートに比べ低かった。6.熱融着性ポリプロピレン不織布で表面加工したシートを試作したところ、成形性、引っ張り強度に優れていたが土壌中の生分解性は抑制された。7.本研究で用いた材料と製造法では高温炭ボードの電磁波遮蔽効果は認められなかった。
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