研究課題/領域番号 |
12871026
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 広島女子大学 |
研究代表者 |
都留 民子 県立広島女子大学, 生活科学部, 助教授 (00236952)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | フランス / 福祉国家 / ホームレス / 路上生活者 / フランス「反排除法」 / 貧困 / 排除 / 社会政策 / 社会保障 / 社会福祉 / 連帯 |
研究概要 |
「福祉国家の危機」が伝えられているが、フランスではその諸原理(完全雇用制の基づく雇用基準、全国民対象の社会保障制度)は見直されておらず「ホームレス」問題は日雇などの不安定労働者の失職・失業から路上生活に通じるわが国の「ホームレス」問題と性格は異なっていることが確認できた(平成12年9月・フランス現地調査での宿泊施設入所者調査と緊急夜間巡回システムでの観察、そして平成13年2月・広島市での路上生活者調査の比較研究)。 第二に、フランスにおけるホームレス対策の「厚み」はわが国で検討されているように特別制度ではなく、一般国民を対象とした普遍的な社会政策(住宅、失業・雇用、医療、社会福祉策)で対処されていること、つまり路上に転落するまでの予防策と、路上後の救済・保護策が有機的に連結されていることである。したがって、現在では常時・常態的な路上生活者は僅少であり、多くは宿泊施設入所に至っていることである。 第三に、最大課題は一般住宅の確保となっていること。何故ならば、健康の保持または回復、職業生活への復帰も生活基盤である住宅の確保なくては、成功に至らないことが確認されている。これはわが国の対策が専ら就労指導に傾いていることへの反証になる。 第四に、現在フランスでは好況を迎えており、問題は次第に外国人問題に傾斜している。しかし、こうした不法入国者に対しては民間支援団体では国籍取得、文化的差異に基づく生活障害に対処すべきノウハウを蓄積しており、それには政府も補助金を支給するなどの体制を整えつつある(平成13年7月民間団体調査)。 以上は1998年の包括的貧困対策法である「反排除法」の影響であり、つまりは全国民、外国人を含む全住民を対象とし、どのような状況になっても生活保障を実行するという福祉国家体制が保持されていることが確認できた。
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