研究概要 |
今年度は,サブリーマン幾何に現れる特異性のふるまいを特異点理論を応用して調べ,非ホロノーム的メディアにおける幾何光学を研究し,NyeやBerryの仕事との関係を研究した.すなわち,昨年度本課題において,非ホロノーム系の積分曲線あるいは積分多様体の研究として,(1)旗多様体上のカノニカル分布の積分曲線の特異性と可展面の位相的分岐.(2)接触構造の特異ルジャンドル多様体の安定性と変形のヴァーサリティーの特徴づけ.(3)グラスマン構造と1階連立非線形方程式の多価解の特異性の分類.(4)非ホロノミー横断性定理.4つの基礎的結果を得たが,今年度は,これらの結果を発展させたいくつかの応用的研究を行った.具体的には,(5)ホイットニーの傘型の非正規1階常微分方程式の分類を行った.さらに,(6)接触多様体の中のルジャンドル曲線の,接触シンプレクティック分類に関するヴァーサル変形の特徴づけを行った(国際的専門誌に投稿中).また,(7)3次元接触多様体内のルジャンドル曲線のルジャンドルホモトピー分類と,接触イソトピー分類の同値性を発見した.さらに,(7)非ホロノーム系の分類問題を積分多様体の空間の特異性に帰着させる方法を見い出した.こうして,コントロール理論における特異点論の応用の有効性を検証した.
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