研究概要 |
平成12年度には引張り強度500MPaの高張力ポリ乳酸繊維と,ポリ乳酸樹脂によってホットプレスで複合材料を作成した.そして成形温度や圧力あるいは時間による強度変化を調べた.その結果,樹脂のガラス転移温度のすぐ直上で成形することによって繊維強度を低下させず,複合材の引張り強度が最大になることが分かった.しかし繊維と樹脂の界面の接着性が悪くその強度は複合則に及ばなかった.そこで繊維をアルカリ水溶液で適当な温度と時間で処理したところ,繊維表面にミクロンオーダーの微細な窪みが作成できた.この繊維を用いて複合材料を作成し引張り強度を測定したところ,ほぼ複合則に近い強度に到達し,材料開発に成果を収めた.この表面処理によるポリ乳酸樹脂複合材料の作成法は現在,特許申請中である. 平成13年度には生体への適用のため前処理滅菌についていくつかの処理の行ったところ,エチレンオキサイドガスによる場合に分子量や強度の低下がほとんどなく良好であった.またin-vitroでの骨芽細胞による生分解実験では約2ヶ月間で分子量が1/100となり引張り強度も零になった.この結果から開発された複合材料は生体内で分解する補助骨材として優れた特性を持っていることが明らかとなった.
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