研究概要 |
本研究の目的は,半導体微細加工技術によりシリコン基板に製作した小面積ナノ構造をモールディング(型加工)により転写し,大面積ナノ構造を生産する技術を確立することである.具体的にはシリコン基板上に電子線描画,プラズマエッチング,気相薄膜堆積技術により立体的なナノメートルサイズ(10nmから500nm)の周期的構造を製作し,これを一次の型として,有機材料へモールディングによりナノ構造を転写するシリコン鋳型の製作では,1次の鋳型をシリコン基板の表面に10nmから100nmオーダの超微細周期構造を電子線描画装置により製作することができた.マスクと試料のエッチング選択比が向上するようにエッチングガスと材料の組み合わせを選択した.シリコンおよびガラスの型に対しては,SF6を用い,GaAsに対しては塩素とSF6の組み合わせが有効であることを見出した.電子線描画装置により2次元超微細構造格子パターンを描画し,レジストを現像し,レジストをマスクとしてシリコンをSF6高速原子線によりエッチングする.製作したナノ構造の鋳型の構造を電子線顕微鏡により評価した. 製作した鋳型を用いて,ポリマー材料にナノ格子構造を転写できた.さらにシリコンの結晶面を鋳型に用いる方法を試みた.ドライエッチングとウエットエッチングを組合せてアスペクト比の高い精密鋳型を形成できた.それを用いてポリマー材料へ構造を転写した.鋳型面(結晶面)の精度へのエッチング条件の影響を調べ,最良の面精度が得られる条件を見出した.ナノメートル精度でシリコン結晶面の転写を実現した. 以上により,研究目的の大部分を達成した.
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