研究概要 |
(1)レーザマイクロフォーミングの基礎的検討 Zr基およびPd基薄膜金属ガラスの微細加工により,長さ300μm,幅50μm,厚さ5μmのはり先端に一辺150μmの正方形パドル部を持った微細片持はりを製作した.この微細はりの固定端付近に最大出力150mWのYAGレーザを照射することで,薄膜金属ガラスを過冷却液体域まで加熱,軟化させ,レーザを用いたマイクロフォーミングの可能性を検討した. 検討の結果,波長1,064nmの半導体LD励起Nd-YAGレーザを用いて,顕微鏡光学系でスポット径100μmに集光し80mW,60秒の加熱で,微細はりをレーザ入射側(上方)に約30度曲げることに成功した.当初は,過冷却液体域へ加熱された部分の薄膜金属ガラスが軟化し,パドル部の自重により下方へ変形することを期待したが,実際には反対側へ変形した.本基礎検討実験では加熱部の温度を正確に測定することが困難であったため,この現象の原因は特定できなかった. (2)レーザマイクロフォーミング装置の試作 上記基礎検討の結果を参考に,レーザマイクロフォーミング装置を設計,試作した.加熱用レーザは半導体LD励起Nd-YAGレーザ(波長1,064nm,最大出力300mW)を用い,赤外顕微鏡光学系でスポット径50〜200μmに可変可能である.サンプルは小型真空チャンバ内に設置され,チャンバ上面の光学窓からレーザを入射する構造とした. (3)マイクロ温度センサを有する薄膜金属ガラス微細はりの製作 試作したレーザマイクロフォーミング装置で,微細はりを加熱した際の温度を測定する方法として,金とニッケルからなるマイクロ熱電対を微細はり上に製作し,加熱温度の測定を試みた.製作した温度センサは約3℃の分解能で,はりの温度を測定することに成功した.
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