研究課題/領域番号 |
12875043
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
熱工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片岡 勲 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80093219)
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研究分担者 |
松本 忠義 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10294018)
吉田 憲司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50314365)
大川 富雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20314362)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 気液二祖流 / 表面張力 / 接触角 / マイクロチャンネル / 高効率液体輸送 / 界面圧力損失 / スラグ流 / 低水位差発電 / 高効率流体輸送 / 圧力損失 |
研究概要 |
マイクロチャンネル内の気液二相流の特性を利用して、わずかな吐出圧で液体を高い位置まで効率的に輸送する装置の開発とそのために必要となるマイクロチャンネル内気液二相流の流動特性の研究を行った。 まずマイクロチャンネル内の液体スラグの静的な特性についての実験と解析を行った。マイクロチャンネル内では表面張力により液体スラグは外力を加えることなく保持される。これは、液体スラグの上下面の後退接触角と前進接触角の差によるものであり、液体スラグの長さと、接触角の関係を実験的に測定した。液体スラグな長くなるにつれ前進接触角は大きく増加し、後退接触角はわずかに減少した。この測定結果は、表面張力と重力のバランスからの液体スラグの界面形状の解析結果と良い一致を示した。また、固体(この場合にはガラス)表面のわずかな性状の違いにより、接触角、液体スラグの保持特性が大きく影響を受けることが明らかとなった。 次に、マイクロチャンネル内に気液二相スラグ流を流動させ、ボイド率、スラグ速度を様々に変化させて、気液界面構造の観察並びに、摩擦圧力損失を測定した。その結果、マイクロチャンネル内の摩擦圧力損失は、液体スラグ部分の剪断力による圧力損失のみではなく、気液界面における圧力損失も考慮する必要があることが明らかとなった。気液界面における圧力損失は気液界面の数と界面の速度の関数となり、また、界面の接触角は、静止状態のスラグと大幅に異なり、スラグ先端では接触角が90度、スラグ後端では、スラグ速度と共に大きく減少する事が明らかとなった。こうした、流動するスラグの圧力損失を評価するため、測定されたスラグ先端と後端の接触角を用いて気液界面形状を与え、液体スラグ内での流れの3次元数値シミュレーションを行った。その結果、二次流れの影響による界面での圧力損失が増加することが示されたがその値は実験によって得られた値よりもかなり小さいことが明らかとなった。流動するスラグ流では表面張力や固体界面との濡れによる力は静止状態とは大きく異なる可能性がありこうした効果を考慮した解析が必要であることが示された。 次に、こうしたマイクロチャンネル内の気液二相流の特性を利用した高効率液体輸送装置の開発を行った。電磁弁とタイマーを用いて、気液混合装置を作成しマイクロチャンネル内に任意の気相スラグ長さ、液相スラグ長さ、気液二体積割合の気液相スラグ流を作りだし、それによって、低い吐出圧で液を高い位置まで輸送する装置を作成した。この装置を用いて、1mの静水圧で10mの高さにまで液体輸送することが可能であることを示した。これにより、実験室レベルでのマイクロチャンネル内の気液二相流を利用した高効率液体輸送装置の実現可能性が示された。今後、より高い位置までの液体輸送方法の開発、マイクロチャンネルをバンドル化して実用的な液体の輸送流量を実現する方法の開発を行うことにより、本装置を省エネルギー高効率液体輸送装置として、低水位差エネルギーを用いた発電システム等への応用することが考えられる。
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