研究概要 |
振動子設計や騒音低減化設計などに資するため,任意の所望の振動モードシェイプを有する構造物の寸法諸元を理論的設計することができる,モードシェイプシンセシス法の基本概念を構築することを目的とし,本年度は3次元振動体のモードシェイプシンセシスを試みた.得られた主な結果は以下の通りである. (1)有限要素のモデルの縦弾性係数,密度分布を求めるモードシェイプシンセシス法の提案振動構造物を有限要素モデルで表し,構造物の固有振動数および振動モードシェイプを指定して,それらを生成するように,各要素の密度および縦弾性係数を求める,新しいモードシェイプシンセシス法を提案した. (2)提案したモードシェイプシンセシス法の定式化8節点6面体要素め質量行列,剛性行列を密度と縦弾性係数の関数で表し,さらに構造物全体の振動方程式を導出した.この方程式を変形して,各要素の密度と縦弾性係数を未知数として求める連立1次方程式を導いた.得られた方程式は式数が未知数より多いため、固有値解析に基づく最小自乗法を適用して解を求める手順を明らかにした. (3)実験モード解析による検証 計算式の妥当性を検証するために,一様片持ち矩形板および円形ランド付き球殻の実験振動モード解析と有限要素法振動モード解析を行い,両者がよく一致することを確認した. (4)リブ付き矩形板への通用 まず、一部の要素の密度,縦弾性係数を変えた矩形板の有限要素法モード解析で得た固有振動数,モードを与えて,シンセシスを行ったところ,与えた諸元が完全に再現され,提案した計算の妥当性が確認された.また,リブ付き矩形板のモード解析結果を与えてシンセシスを行ったところ,指定値にもっとも近い固有振動数;モードシェイプを生成する密度,縦弾性係数分布を得た. 以上,連続体の振動構造設計に,提案したモードシェイプシンセシス法が有用であることが確認された.
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