研究概要 |
活性材料により構成されたフォトニック結晶は遮断域のフォトニックバンドギャップによる零しきい値レーザの可能性があり,フォトニック結晶の提唱以来主要な応用デバイスとされている。透過域においてもフォトニック結晶は大きな異方性や高い分散性を持つため,例えば,特定の偏波のみを放射する発光素子への応用も可能である。 我々は,偏波制御性や導波路との接続特性に優れたフォトニック結晶発光素子の実現を目指し,CdSを3次元サブミクロン周期構造中に取り入れるプロセスの検討を行い,これを実証した。また,取り入れられたCdSからの光励起による発光も確認した。さらに,TiO_2/air/CdS 2Dフォトニック結晶構造を形成し面垂直方向に大きな偏波依存性を確認した。 初めに,自己クローニングによりSi/SiO_23次元フォトニック結晶を作製する。Siを一部除去し,その空隙にTEA法と呼ばれる溶液浸漬法によりCdSを形成し,CdS/SiO_23次元フォトニック結晶を作製した。TEA法のサイクルが1回及び2回の場合のCdSの充填率はそれぞれ65%,100%であった。サイクル数により充填率を調整できることが分かった。 次に,発光の偏波依存性を観測するために,TiO_2/SiO_22次元フォトニック結晶においてSiO_2を一部除去し,TiO_2/air構造中にCdSを低充填率で取り入れるプロセスを開発した。面垂直方向のフォトルミネッセンススペクトルに大きな偏波依存性があることを初めて観測した。本技術を発展させることにより,偏波制御性や導波路との接続特性にも優れたフォトニック結晶発光素子への応用が可能である。
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