研究概要 |
物体の3次元形状の表現手段を大別すると,ポリゴン表現と曲面関数表現がある.本研究では双方の表現法に関して,情報の埋め込みを行うことを目的として研究を行った.以下にそれぞれの表現方法に対する情報埋め込み技術について述べる. ・ポリゴン表現は,多数の小さな三角形で物体を覆い尽くす手法である.その主なデータ構造は,各三角形の頂点を表す幾何データと,各頂点間の連結関係を表す位相データから構成されている.従来は,幾何データに情報を埋め込む手法が研究されてきたが,この方法では,頂点座標の変化すなわちモデル形状の変化がおきてしまう.そこで本研究では,幾何データへの埋め込み量を抑えるために,頂点の連結開係を表す位相データヘ情報を埋め込む手法を新たに考案した.そして,幾何およびおよび位相データの特性を活かすために,著作権情報とその他の付加的な情報とを別々に埋め込む手法を開発した. ・曲面モデルを用いた物体形状表現に関しては,媒介変数を用いた区分的ベジエ曲面による表現方法に対して情報の埋め込みと取り出し方法について検討し,そのアルゴリズム化を行った.この手法では,埋め込まれた情報はモデル形状を変化させることがなく,その利用法も埋め込みの前後で全く不変である.そして,物体モデルの移動や回転・拡大縮小等の変換後でも埋め込んだ情報を取り出すことができるという性質がある.さらに,埋め込まれた情報を取り除くのに鍵を必要とする方法であるため,形状モデルの流通を阻害することなく知的所有権等の情報を3次元モデルに埋め込む技術として有効な技術である.
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