研究課題/領域番号 |
12875099
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築構造・材料
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川瀬 博 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (30311856)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 共振振動数 / 観測システム / 微動観測 / FFT / モニタリング / 動的応答 / 付加質量 |
研究概要 |
本研究では、正確な構造物剛性の評価を可能とする新しい構造物モニタリングシステムの実現可能性について実証的データを得ることを目的としている。すなわち、あるモデル構造物に対してここで提案する新しい構造物モニタリングシステムのプロトタイプを適用して、実際に理論どおり構造物の剛性が把握できることを実証する。その概略の方法は以下のとおりである。まず常時微動を計測することによりその共振振動数を把握し、さらに質量の正確に把握されている付加質量体を付加した上で再度共振振動数を求め、両者の共振振動数の変化から真の剛性を評価する。本研究では、手法の実現可能性を検討する上で最も重要な、どの程度の量の付加質量を用いれば精度よく観測される変化となって現われるかを明らかにする。昨年度は高精度の計測システムを整備しそれを用いて実構造物の共振振動数がどれくらいの精度で観測できるかを調査した。その結果、23区間の1次共振振動数の変動係数は平均0.00896で1%以下の高い精度で同定できることがわかった。今年度は実際にRC造4階建ての建物の屋上に質量が既知である付加質量を搭載した場合としていない場合を計測し、その共振振動数の変化を把握した。屋上/一階のシステム関数をターゲットに振動数と減衰定数の同定を行い、複数の時間区間に対して平均し、その平均値における質量を付加した場合と付加していない場合の差が時間区間によるばらつきよりも大きいことを確認した。この差を説明できるように、まず設計図書から建物のモデルを作成し、その質量分布と剛性分布は正しいとし、実際の質量と剛性の絶対値を、共振振動数とその付加質量による変化を説明できるように同定した。その結果、質量は設計用見積値の約1.4倍、剛性は桁行方向1.3倍・梁間方向2.5倍であることがわかった。質量の同定値は桁行方向と梁間方向でほぼ一致したので同定の精度は高いと考えられる。このことから、確定付加質量を用いた構造物の実質量・実剛性モニタリングは十分実用性があることがわかった。
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