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分子状酸素によるアルケンのエポキシ化反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12875148
研究種目

萌芽的研究

配分区分補助金
研究分野 触媒・化学プロセス
研究機関東京大学

研究代表者

水野 哲孝  東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50181904)

研究期間 (年度) 2000 – 2001
研究課題ステータス 完了 (2001年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
キーワード鉄 / 二置換シリコタングステート / 分子状酸素 / アルケン / エポキシ化
研究概要

シクロオクテンをはじめとする種々の炭化水素の選択酸化反応を行った.シクロオクテン,1-オクテン,2-オクテン,1-ヘキセン,シクロヘキサン,n-オクタンのターンオーバー数(TON)はそれぞれ10000, 2200, 2500, 1600, 135, 13であり,いずれにおいても反応は触媒的に進行した.基質がアルケンの場合,主生成物は対応するエポキシドであり,電子密度が低い二重結合を有する1-オクテンや1-ヘキセンでは,ターンオーバー数は比較的小さかった.以上より,Keggin型鉄二置換ポリオキソタングステートは,分子状酸素を酸化剤とした種々のアルケンの選択酸化反応に有効であることが明らかとなった.
シクロオクテンのエポキシ化反応前後の触媒のUV-visスペクトルは,いずれも276nm(ε26000M^<-1>cm^<-1>)と336nm(ε8200M^<-1>cm^<-1>)にγ-Keggin型構造に特有のバンドを示していた.したがって,反応後も触媒はγ-Keggin型構造を保持していることが示唆された.また,反応前後の触媒のIRスペクトルもほとんど変化しなかった.以上より鉄二置換ポリオキソタングステートは本反応条件下で安定であると考えられる.
シクロオクテンのエポキシ化反応はラジカル捕捉剤の添加による活性の低下が見られないこと,cis-およびtrans-2-オクテンのエポキシ化反応はラジカル反応におけるよりも立体選択的であることなどから,反応は主に非ラジカル的機構で進行していると考えられる.また,反応によって消費される酸素量は生成物量のほぼ1/2であること,^<18>O_2を用いてシクロオクテンのエポキシ化反応を行うと,96h後の反応溶液におけるH_2^<18>Oの生成量はシクロオクタノンの生成量と同程度でわずかであったことから,本反応系はジオキシゲナーゼ型で進行していると推定される.さらに,シクロオクテンと分子状酸素^<16>O_2との反応を96h行った後の触媒のIRスペクトルには,832cm^<-1>に鉄-オキソ種に帰属される吸収帯が観察された.この活性種に帰属される吸収帯はUV-visスペクトルでも614nmに確認できた.^<18>O_2を用いた場合には^<16>O_2を用いた場合と比べて832cm^<-1>のバンドは56cm^<-1>低波数へシフトし,776cm^<-1>に観察された.また,^<18>O_2を用いた場合の反応後の触媒とシクロオクテンとの量論反応を行うと,シクロオクテンオキシドがほぼ等量生成し,776cm^<-1>のピークが消失した.したがって,鉄-オキソ種が反応活性種であると考えられる.さらに,シクロオクテンのエポキシ化反応速度は触媒濃度,酸素分圧ともに1次に比例し,かつ酸素分圧1.0atm付近で極大を示した.したがって,この結果も反応には触媒が直接関与し,鉄-オキソ種がエポキシ化反応に寄与していることと矛盾しない.

報告書

(2件)
  • 2001 実績報告書
  • 2000 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.Nishiymma, et al.: "High Turnover Numbers for Catalytic Selective Epoxidation of Alkenes with 1 atm Molecular Oxygen"Angew. Chem. Int. Ed.. 40. 3639-3641 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 水野 哲孝: "ポリオキソメタレートを用いた活性点制御と分子状酸素を酸化剤とした均一系選択酸化触媒作用"触媒. 44. 23-28 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] T.Hayashi et al.: "High Turnover Number of γ-SiW_<10>{Mn^<3+>(OH_2)}_2O_<38>^<6-> for Oxygenation of Cyclohexane with 1 atm Molecular Oxygen"Chem.Commun.. 2000. 381-382 (2000)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] A.Kishida et al.: "Remarkable Effect of Manganese Center on Catalytic Activity for Decomposition of Hydrogen Peroxide"Chem.Lett.. 2000. 1374-1375 (2000)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] H.Hatayama et al.: "Synthesis of Cubic Mesostructured Vanadium-Phosphorus Oxide"Chem.Lett.. 2000. 884-885 (2000)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書

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公開日: 2000-04-01   更新日: 2016-04-21  

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