研究概要 |
CH_2=CH_2共存下でCH_4を反応させるとCH_3CH=CH_2が生成し,さらにCH_3CH=CH_2がCH_2=CH_2やCH_4などの炭化水素と反応を起こして,高級炭化水素が生成すること,また,ベンゼン共存下でCH_4を反応させると,キシレンが生成する。 申請者は,銀イオン交換ゼオライトにH_2を吸着させると,細孔内に生成した銀イオンクラスター(Ag_n^+)によって水素が不均等解離されること,またその反応が可逆的であることを報告している。 ZO^-Ag_n^++H_2【double arrow】Ag_n-H+ZO-H(ZO^-:ゼオライト格子)(1) この実験結果を基に,銀イオンクラスター(Ag_n^+)によってCH_4のC-H結合も不均等解離を起こすのではないかと考えた。 ZO^-Ag_n^++CH_4→Ag_n-H+Z0^<δ->CH_3^<δ+>(2) 反応系にCH_2=CH_2が共存させることによって,(2)の反応によって生成したCH_3^+と反応を起こしてCH_3CH=CH_2が生成することを見出した。 ZO^<δ->CH_3^<δ+>+CH_2=CH_2→ZO^-・CH_3-C^+H-CH_3(3) ZO^-・CH_3-C^+H-CH_3→CH_2=CH-CH_3+ZOH(4) 触媒のAg_n^+は(1)式が可逆反応であることから,触媒上のプロトンと反応して再生される。 Ag_n-H+ZO-H→ZO^-Ag_n^++H_2(5) この方法では,CH_4から生成したCH_3^+はCH_2=CH_2以外のアルケンや芳香族化合物と反応させることも可能である。すなわち,CH_4によるCH_2=CH-CH_3やベンゼンのアルキル化反応が進行し,本研究で提案する手法は応用範囲が極めて広い。
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