研究課題/領域番号 |
12876027
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
|
研究期間 (年度) |
2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | ATPアナログ / ボロン酸 / 求電子性 / 中間体アナログ / ジフルオロメチルホスホン酸 / ATPase / kinase |
研究概要 |
本研究は、ATPの関与する酵素反応の多くがATPのγリン酸の転移を触媒することに着目し、その基本的特徴であるγリン原子上での求核置換を模したATPの機能性アナログを合成することを目的としたもので、ATPのγリン酸の代わりに求電子性をもったホウ素原子を導入したATPボロン酸アナログを設計・合成し、各種ATP依存性酵素に対する阻害活性を調べた。ATPのγリン酸がジフルオロメチルボロン酸で置換されたATPアナログ1を、AMP-morpholidateとboronodifluoromethylphosphonic acidとのカップリングで合成し、hexokinase,pyruvate kinaseおよびadenylate kinaseの3種類のkinaseについて阻害活性を調べた。その結果、いずれの酵素に対しても、化合物1はきわめて弱い阻害効果しか示さず、予想されるATPの機能性アナログとしては作用しなかった。化合物1の構造を31PNMRで調べと、純度は高いものの、きわめて幅広い複数のピークを与え、化合物1が複数の構造体の混合物として存在する多形性を示すことがわかった。これは、リボース環のシスジオールがボロン酸と分子間エステルを形成してオリゴマーをつくっている結果と考え、水酸基が1つのデオキシATPのボロン酸アナログを合成したところ、予想どおり31PNMRのピークは鋭いほぼ単一の化合物を示し、ボロン酸の分子間エステル形成が、化合物1が多形性を示す主な原因になっていること判明した。さらに、γリン酸転移における「伸びた遷移状態」を考慮し、リン酸が1つ分長いATPボロシ酸アナログも合成し、その物性と阻害活性を調べた。
|